大谷刑部(吉継)は石田三成との友情を貫くため、重い病を押して関ヶ原に駆け付けます。

三成には何度も思い止まるように言ったのですが…それが友の情けと言うもの。

刑部と三成の約束

天下分け目の関ヶ原。

全国の名だたる武将達が結集する中、ただ一人異様な出で立ちで参上した武将がいました。

大谷刑部。

 

刑部は白い布で顔を覆い足が不自由なため輿に乗って戦場に現れます。

こんな状態で戦の出ると言うのは無理と言うもの。

まるっきりの病人です。

刑部のライ病はかなり進行しており、顔は崩れかけ、目は見えない手足も自由に動かせません

(もののけ姫に出て来る包帯を巻いた患者さんたち…)

 

しかし、彼には思い病気をおしてまでも、戦に駆け付けねばならない理由がありました。

それは、親友石田三成との約束。

 

「秀吉亡き後の天下は俺が取る、いや新しい時代を作るんだ」

そう、刑部に打ち明ける三成。

 

しかし、刑部は至って冷静。

おまえに、そんな事できる訳がない。

 大将には大将の器ってものがあるんだ。

 戦ってものは勝てばいいってもんじゃない。

 それに、目の前の敵を倒したら次は身内が敵になる…」

 

刑部は三成を思い止まるように何度も説得します。

しかし、どうにも折れない三成。

 

「これは、言っても聞かないな…。

しかし、無理と分かっていながら貫き通すのも侍の生き様。

今コイツは、自分の夢を信じている。 

もし、その夢が叶うなら本当に世の中を変えて行けるかもしれない。

万が一という事があるなら、三成ほどの情熱がないと成し得ないだろう」

 

刑部は不自由になりつつある自分の体を鑑み、朝鮮出兵以降は第一線から退いていました。

しかし、もう一度己の人生を燃やすのであれば、それは三成に命を預け共に戦かう事かも知れない…。

こうして刑部は、三成の軍に加わり徳川と戦う事を決意します。

 

 

三成と刑部は若い頃から、同じ釜の飯を食う仲間。

互いに認め、主君秀吉からも信頼された親友同士。

(※秀吉が100万の兵を刑部に指揮させたい…と言ったのはフィクションらしいが)

 

刑部が一緒に戦ってくれるなら、これほど心強いものは無い。

いや、刑部がいるからこそ覚悟を決めて戦いに挑むことが出来る。

(だからこそ、しつこく誘ったんでしょうね)

 

 

関ヶ原で男を貫く

刑部は関ヶ原に臨むにあたって、各大名の情報をかき集めます。

すると、西軍である小早川秀秋の異変を察知します。

(秀秋は北政所〔秀吉の奥さん〕の甥っ子であり、秀吉の親戚筋にあたる武将)

 

「秀秋め、裏で家康と繋がっているな。これを何とかせねば…。しかも、秀秋は1万人の大軍を率いてくる。かなり厄介な相手になるな…」

 

そして、関ヶ原の合戦の日がやって来ました。

 

刑部は三成と秀秋の中間部分に布陣を行います。

秀秋が裏切って横から襲って来た時に、刑部が盾となり動きを封じる覚悟でした。

 

いざ、戦が始まると早々に秀秋は西軍を裏切り、松尾山山上から攻め込んで来ます

(土壇場まで動かず、家康に鉄砲で催促されたと言うのはドラマの演出ですね)

 

ある程度予想はしていた事ですが、数に勝る秀秋軍はとんでもない圧力をかけて来ます。

刑部の部隊には戦力に余裕は無く、全力で戦うしか術はありません。

両者は激しくぶつかり合い、戦の監視を務める者でさえ巻き沿いを食らうほど熾烈を極めます。

 

これに加え脇坂、朽木、小川、赤座の部隊も東軍に寝返ります

刑部の軍はなぎ倒され、西軍は雪崩れをうって崩れ落ちていきました。

 

力尽きた刑部は山中に退却します。

そして、自害の覚悟を決め輿を降ろさせました。

刑部は病気で変形した顔を敵に晒したくないので、自分の首は山に埋める様に指示います。

 

介錯を務めるのは家臣の湯浅隆貞(たかさだ)。

しかし、隆貞が刑部の首を地中に埋めている最中に、敵方の武将に見つかってしまいました。

 

その武将の名は藤堂高刑(たかのり)。

藤堂高虎の甥にあたる者です。

 

隆貞は高刑に言いました。

「大谷の大将は病で顔が見苦しくなっております。

当人もそれを気にしていましたので、人目に触れさせたく無いのです。

大谷が死した今、ただそれだけは願い叶えていただけませんか。

その代わり、私の首をあなたに差し出します…

 

「なるほど、そういう訳なんですか。その願い、しかと承ります。これも侍の生き様…」

 

武士の情け

高刑は隆貞の首を刑部のものとし、徳川家康に提出しました。

(関ヶ原では今でも大谷刑部と湯浅隆貞がセットで安置されています)

 

戦い終わって、石田三成は市中を引き回され京都六条河原で斬首の刑を受けます。

しかし、三成は最期まで憶する事なく、バーンと胸を張って大将の務めを果たしました

 

刑部と三成はきっと天国で…

「あの時はやっぱ、刑部さんの言う通りだったね」

「だから、何度も言ったじゃん!」

なんて、戦国談義をしてい事でしょう。

 

 

まとめ

若い時分から、秀吉のもとで家臣を務めた刑部と三成。

しかし、時代の流れの中で自らの理念を貫くか、時流に乗って生きるかの選択を迫られます。

現実を見極める刑部に対し、自らの夢を追い求める三成。

意見の異なる二人でしたが、それ以上に彼らの友情は固く関ヶ原では運命を共にします。

それも、武士の生き様。

 

勝った負けたは神様の決める事…。

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