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南部家を導いた地味キャラの名君
南部利直(としなお)とは初代の盛岡藩主。
戦国時代の末期から江戸時代の初期にかけて活躍した武将でした。
戦国時代をなんとか生き抜いて(けっこう苦労した)、江戸時代に入ってからは盛岡藩の一番初めの藩主を務めます。
石高は10万石の大名です。
コテコテの下克上大名とは違いますが、家を守っていく位の度量は備えていました。
ド派手な武勇伝みたいなのはは残っていませんが、ホンワカしたエピソードならあり、ちょっと人気のある武将です。
南部の殿様
お名前が「南部」って言うくらいですから、南部の人なんです。
南部せんべいの「南部」。
(南部鉄でもOKです)
岩手県っていうか、陸奥国っていうか、東北の太平洋側っていうか…なんとなく分かってください。
あの辺が南部かなぁ〜って。
南部家って、すごい古い歴史のある家柄でして利直の代で27代目を数えるそうです。
(現代でもまだ続いています…)
伝統ある陸奥の武家一族。
源氏系の家系で、成り上がり者では無いんですね。
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南部利直って、どんな人?
利直のキャラクターって言うと…これといった際立った特徴がない。
(まぁ、普通に優秀な武将ではあると思いますけど)
極悪非道とか、宮本武蔵より強いとか、学問の神様とか、そういう極端なタイプじゃないです。
またうつけ者とか、病弱と言った話も聞かない。
南部の家臣に津軽為信(下克上男)とか、九戸政実(勇猛武士)といった人達が居ますが、彼らの方がよっぽどキャラ濃いです。
でもそれじゃ、あまりにも捉え所がないので利直に関するエピソードを2つ紹介します。
① 忍者と利直
ある日、利直が建築途中の盛岡城を見回っていました。
すると、1人の現場作業員がちょっと気になる。。。
そこで利直はその人に声をかけました
「あなた、ぱっと見は作業員に見えるけど、本当は違うでしょ?ちょっと怪しいんですけど…」と。
するとその作業員は、最初はすっとぼけていましたがとうとう白状しました。
どうやら、その作業員は伊達から派遣されてきた偵察係の忍者だったようです。
普通ならここで、その忍者をとっ捕まえてお仕置きをする所なんですが、利直はこう言いました。
「やっぱそうなんだ。じゃあ、ついでに聞きたいんだけど、ウチのお城どう思う?
ダメな所があったら教えて欲しいんだ。
おたく、お城のスパイに来るくらいだから、お城の事には詳しいんだよね?」と。
するとその忍者は正直に話します。
「こちらのお城は見た目は立派なお城なんですけど、 この設計では向こうの山に登って見下ろされたら、城内が丸見えですよね。これでは残念なお城になってしまいますよ」と。
かくして、利直は忍者から貴重なアドバイスを貰ったワケです。
その後、お城の偵察に来た忍者は南部の家臣に連れられて…伊達家に強制送還されました。
これには「伊達さん、カンベンしてくれよ〜」
というメッセージも含まれています。
なかなか粋ですね、利直。
②わんこソバの伝説
利直が用事があって江戸に向かう途中、花巻城で食事をする事になりました。
(岩手県花巻市です)
そこで、お城の人達は利直様におソバを出しました。
(地元の名物でした)
でも、気に入ってくれるか分からないので一口サイズのおソバを漆を塗ったお椀(おもてなし感アップするため)に入れて、差し出します。
少しだけ食べてもらって殿の顔色を伺う、という作戦です。
すると、利直様は大喜び。
めっちゃ気に入ってくれました!
「うまい!お替わりください」
「もういっちょお願いします」
「もっと食べたい!!」
おソバをどんどんお替わりします。
これがわんこソバ誕生の瞬間。
まぁ、この話がどこまで事実を伝えているか分かりませんが、嫌われ殿だったら、こんな名シーンに使ってもらえませんよ。
愛され殿だったのですね、利直は。
ちなみに、大食いのプロはわんこソバを500杯ぐらい食べるそうです。
重量にして7kg〜8kg。
(普通の人は1kgぐらいが限界です)
武将、南部利直
あと「武将」南部利直についてもお話します。
一応。
利直は1599年に家督を継ぎましたがそのちょっと前までには、家臣の裏切りが相次いで苦労させられました。
まずは「津軽為信」(ためのぶ)。
この人は南部から独立したくて利直を裏切っていきます。
そして隙あらば南部の城を攻め、領地を浸食していくんです。
でまた、そのやり方がずる賢い。
領内で一揆が起こってる時や、仲間割れしてる時、クーデターのどさくさに紛れて攻めるなやりずらいったら、ありゃしない。
忙しい時を狙って襲って来るんです。
おかげで領地をがっぽり持っていかれました。
しかも世渡り上手なので、後で文句を言ってもかえって、こっちが悪者にされてしまう。
うま〜く秀吉に取り入って、リベンジをさせないように立ち回るんです。
コイツには参ったぜ。。。
正直言って、戦国武将としては利直より一枚上手でした。。。
そして「九戸政実」(くのへまさざね)
九戸政実は南部家の跡取りの継承に納得がいかなくて、クーデターを起こします。
(九戸政実の乱)
そこで「我々こそが南部の真の継承者だ!」と主張して利直派の城をガンガン攻めていきました。
九戸実値は南部のエース武将なので、暴れ出したら利直には負えない。
実力勝負だったら絶対に負けます。
ピンチの利直。
そこで、豊臣秀吉に救援を頼んだら、すぐに助けに来てくれました。
しかも、ものすごい大軍を送ってくれたのです。
(家康、正宗、利家、三成…の豪華メンバー)
おかげで、南部家滅亡の危機を脱する事が出来ました。
あぶないあぶない…ギリギリセーフで間に合います。
よかった、よかった。
この時、利直はどれだけ勇猛に戦ったかと言うと…え〜と、、普通に戦った。
もちろん一生懸命にはやってましたけど、ハイパワーな武将と比べると見劣りします。
そんな利直が政実に勝てるワケが無い。
ただ、途中で考えを切り替えて秀吉に助けを求めたのは、現場責任者として賢明な判断でしたね。
強いだけが武将じゃないですから。
いいんです、最後に勝てば。
こうして、利直は苦難を乗り切る事が出来ました。
まとめ
長い歴史のある武将一族、南部家。
南部利直は27代目の当主として、難しい戦国の時代を駆け抜けました。
有力家臣の謀反にもめげず、南部を守りきり江戸時代につなげ初代盛岡藩主として新たなスタートを切ります。
武将としては一見地味でしたが苦難の南武家を支え、なんとか新時代に導く事ができました。
激動の時代でしたから、家を存続させただけでも立派なんです。