戦が強い武将って、どんな人を思い浮かべますか?
謙信、 信玄、 勝家、 政宗…?
伝説に残る激強武将って数えてみると、意外と沢山いますね。
しかしそんな中、戦で30倍もの敵軍を蹴散らした武将がいます。
そもそも、そんな無茶なこと出来るかって?
それが…出来たんですよ!
「朝倉宗滴」いう越前の武将がそれを証明しました。
(※宗滴は1477年生まれ。ちょっと古い時代の武将ですね)
今日は宗滴の紹介です。
戦も強いけど、性格も怖い朝倉宗滴…
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朝倉家の実質ナンバーワン
朝倉宗滴(そうてき)は越前国(福井県)の大名朝倉氏の家臣。
主君じゃ無いんですね、家臣の方。(朝倉の分家です)
ところがこの宗滴、朝倉家の中では相当でかいツラしてました。
実質の当主でしたので。
一応、宗滴は主君に仕える身なんですが、あまりにも優秀な武将だから、皆の頼りにされまくって朝倉家の中心的人物として君臨します。
頭もいいし、戦っても強い。
また、幕府の信頼もあったので、朝倉家の地位もぐいぐい上がります。
もう、宗滴ナシではいられない。
そんな武将でした。
朝倉家の有名人と言うと「朝倉義景」の方を思い出す人が多いと思います。
イマイチ頼りな~い感じの、朝倉の主君。(義景が信長にやられて朝倉家は滅亡)
だから、朝倉って言うと弱っちい大名みたいなイメージがあったりしますね。
でも、それよりちょっと前の朝倉は宗滴がブイブイ言わせていたので、周辺の大名たちはかなりビビっていました。
朝倉の本当のヒーローはこの宗滴です。
その証拠に宗滴が死んだ後には,朝倉家のパワーはガタ落ちしちゃいました。
つまりこれは、宗滴の存在がどれだけ大きかったかを意味します。
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九頭竜の戦い(1506年)
朝倉宗滴の武功は数え切れないぐらいあるんですが、その中でも極めつけの活躍をしたのが「九頭竜川の戦い」です。
実はその当時の朝倉家は、戦国大名として独り立ちしてまだ間もなく、戦をするにしても戦力的にはちょっと心配。
しかも、一向宗(加賀国、石川県)が日に日に勢力を増して、朝倉の領地にも攻め込んで来そうな気配。
そして、1506年7月。
ついに一向宗たちは国境を越えて、朝倉家の越前国に攻め入りました。
(放火とか略奪行為をするんですよ、ヒドイですね)
もちろん、朝倉としてもこのままやられっ放しではいけません。
対抗軍を編成しました。
とは言うものの、朝倉軍と支援勢力をかき集めても1万かそこいら。
どんなに盛っても2万には遠く及ばず。
しかし、対する一向宗の勢力は20万~30万?と言う情報。
これじゃ、全然勝てる気がしませんよね…。
九頭竜川を挟んで、両者睨み合います。
この場合、普通なら戦うだけ損です。
こんなに差があったら勝てるワケないですから。
しかも、一向宗ってけっこう強い。
単なる信徒さんたちのグループじゃないです。
ちゃんと軍事行動のできる意識の高い集団だし…ますます勝てる要素が無いぞ。
強行突破
九頭竜川での睨み合いから、ボチボチ戦が始まります。
初戦では、朝倉もなかなかの成果を上げました。
でも、こんな兵力差でまともに戦えばこちらが消耗するだけ。
数で勝負されたら、絶対に敵うワケない。
う~ん、何か良い秘策はないか?
そこで、宗滴は決死の覚悟で奇襲作戦に出ました。
しかもこれが、メッチャ危ない作戦。
それは、急流激しい九頭竜川を渡って夜襲を仕掛けるというものです。
背水の陣の真逆を行く戦術。
さすがの一向宗も、まさかこんなに流れの速い川を渡って来るとは思っていません。
しかも、真っ暗い闇の中を。
ヘタをすれば戦う前に流されて終了です。
激流に飲まれて自爆。
(こんな急流を渡ってくるバカがどこにいる?)
考えてみて下さい、恐ろしいと思いませんか?
夜中の急流ですからね、一度転んだら川に飲まれてすぐに上下が分からなくなります。
おまけに鎧を身に着けていますから、流れの抵抗を思いっきり受けるし溺れる率は超高いと思います。
100万円貰ったってやりたくないですよね。
でも、やっちゃった!(いや、やらされた!?)
だからこそ奇襲の効果があるんですけど…やらされた兵士の皆さんは、さぞ怖かった事でしょうね。
この時宗滴は「川を渡らないなら、俺がお前たちを殺す」
と言ったとか、言わないとか…
これじゃ、どっちが味方だかワカラナイですね。
奇襲作戦成功
九頭竜川を渡った朝倉軍は、一向宗の不意をついて見事に作戦を成功させます。
闇夜の急流から湧いて出た兵士達に驚いた一向宗は、とたんに大パニックに陥ります。
こいつら、どっから来たんだー!
もう、戦うどころの騒ぎではありません。
何が何だかワケ分かんない。
とにかく、逃げろ!逃げろ!逃げろー!
こうして、宗滴率いる朝倉軍はケタ違いの勢力である、一向宗を相手に勝利する事が出来ました。
(秘策で小軍が大軍を倒したという戦は他にもありますが、30倍の倍率を克服するという事例はそうそう見当たるものではありません)
伝説の名君
宗滴は強くて、頭が良くて、ちょっと(かなり?)強引な武将。
こういう人って、周りの人からするとかなり煙たいいんです。
怖いし、話聞いてもらえないし、つけ入る隙もないし。
そこにいるでけでプレッシャーを感じる。
その結果、暗殺される。
こんなヤツいない方が清々するよ、と。
戦国武将はスーパースター過ぎると、武将の寿命は短くなるようです。
しかし、宗滴の場合はちゃんと畳の上で亡くなっています。(享年78歳)
もしかしたら、強面に見えた宗滴はちゃんと空気の読める真の名君だったのかも知れませんね。
(優しいエピソードも残っていますし…兵役をサボったヤツから罰金を取って頑張ってる人のおやつ代に廻すとか)
おっと、、、主君じゃなかった、家臣の方でしたね宗滴は。