鳥居元忠【忠義】家康との究極の友情、伏見城での約束

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忠義を貫いた武将

 

旧知の戦友

徳川家康は、いよいよ関ヶ原の合戦が始まろうとするその直前、伏見城を訪ねました。

家臣である鳥居元忠へ会いに来たのです。

 

「やぁ、元忠さん。今日はお話があって来ました。お邪魔しますね」

「ああ殿、お待ちしてました。どうぞこちらへ…」

 

家康と元忠はガキんちょの頃からの付き合い。主従の関係ではあるけど、親友と戦友を足してミックスした間柄。お互いにいい年。ジジイです)

 

で、その日家康は、関ヶ原の合戦の打ち合わせでやって来ました。

若干の悩みを抱えつつ…

 

別れのぼた餅

家康は「ねえ、元忠さん。合戦が始まったら、絶対にこの伏見城が狙われると思うんだけど…

その時は、無理して戦っちゃダメだよ。ヤバくなったら早く退却してね、若くないんだから」

と話します。

 

しかし、これを聞いた元忠は少し考えて…お付きの者にぼた餅をもって来させました。

「殿は、ぼた餅がお好きでしたよね…」

 

すると、家康はそのぼた餅を一つだけつかんで席を立ってしまった。

 

そこで側にいた家臣達は、元忠が何か失礼な事をしたのではないか?と

心配になり家康の後を追いかけます。

 

ところが、家康は廊下にいました。

そして、声を抑えて肩を震わせながら…涙を流している

家康には元忠が言わんとしている事が、すぐに伝わりました。

 

それは、お別れを意味するぼた餅なのでした。

 

伏見城をどうするか…

伏見城は戦略の上で重要なポイントだけど、ここで沢山の兵は動員できない

まだ、勝つか負けるか分からないし。

 

死ぬ気で戦ってくれれば、敵の勢いを抑える事は出来るかもしれない。

だけど、そんな事誰がやる?

 

城主である元忠?

いやあ、無理だよ。

ピークをとっくに過ぎた老いぼれジジイだし…

もし、そんな事頼んだら「死んでくれ」って言っている様なものだもん。

 

だから、適当に戦ったら切りの良い所で引き上げもらうか…。

でもなぁ、伏見城で踏ん張ってもらえると助かるんだけど、元忠にはムリだよねぇ。

 

武士の本望

しかし、元忠の方はやる気満々。

 

ここで役割をはたすのが、最高の忠義であると心得ていたのでした。

これこそ、武士の本望。

 

家康としては、元忠が伏見城で頑張ってくれれば助かるんですけど…物事、頼んで良い事といけない事がある。

元忠は、そんな家康の心中を察します。

そして、最後のぼた餅を食わせました。

(これから死んじゃうって時に、ぼた餅まで頭回りますか?)

 

「殿、こういう時こそ忠義ですよ。

自分の命ばかり惜しんでいたら、大きな仕事は出来ませんから。

殿だって私の立場だったら、きっとそうする筈です。

だから、伏見城はこの元忠にお任せください

その代わり…我々の夢はちゃんと叶えてくださいね」

 

家康が流したものは、感謝と寂しさの入り混じった男涙。

 

捧げる忠義に、受け止める忠義。

この気持は絶対に無駄にしてはならない。

 

漢の生き様

それから暫くして(1600年9月8日)

家康は上州からの移動中に、元忠が討ち死にした知らせを受けます。

それは、石田三成や島津忠常相手に戦い壮絶な最期であったとの事。

 

こうなる事は予期していたものの、やはり大きなショックを感じます。

家康は馬上から転げ落ち、地面に突っ伏して泣きました。

 

本物の武将

鳥居元忠は飛びぬけて戦の強い武将ではありません

しかし、この時ばかりは豊臣の大軍を相手に善戦し、家康から仰せつかった役目を十二分に果たすことが出来した。

 

武功ばかり考えて戦っている人には、こんな戦はバカバカしくって出来ません。

また、理屈で納得するような「忠義」なんか強敵が現れた瞬間に吹き飛んでしまいます。

本物の忠義を尽くせる者こそが、になれるのです。

 

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