秀吉と戦う為に、鳥取城にやって来た吉川経家(つねいえ)。
経家は籠城戦で対抗しますが、後でとんでもない目に遭います。
それは、地獄の籠城戦…
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吉川経家
吉川経家は毛利系の武将。
石見国(島根県)出身。
1547年生まれなので、黒田官兵衛と同世代です。
名前は吉川ですが、血は繋がっていません。
経家の父さんの代で、吉川の分家に養子に入ったため吉川姓となりました。
(本家から見ると、ちょっと遠いかなぁ?)
でも、家臣の中では重臣クラスなので石見国(島根県)に自分のお城を持っています。
ただ、領地のからの収入が少なくて、金持ちではありませんでした。
経家は文武に秀でた武将でまた男っぷりが良く、秀吉がベタ褒めするくらいの人物。
戦の責任を取って切腹で最期を遂げたのですが、敵方にも経家の死を惜しむ声が上がったそうです。
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鳥取城籠城戦
吉川経家の登場
1581年、織田家の軍勢は毛利討伐を目指して因幡国(鳥取県)まで攻め込んで来ました。
軍を率いるのは羽柴秀吉。
まず、狙われたのは毛利系の家臣、山名豊国が所持する鳥取城。
しかし、国豊は鳥取周辺の支城が次々と落とされていく戦況を鑑みて
「こりゃ、絶対に敵わん」
と判断し、早々に降伏するつもりでいました。
これを見た国豊の家臣森下道誉、中村春続は「こんなヘナチョコ城主じゃ使い物にならん」
と国豊を追い出してしまう。
そして、吉川本家(春元)に連絡してもっとマシな城主を連れて来るように言います。
そこにやって来たのが、勇敢なる武将吉川経家だったのです。
代打の切り札、経家。
実は経家の吉川家はお金が無かったので、本家の方に「所領をもっとくれー」とよく訴えていました。
そこで「鳥取城で頑張ったら、増やしてあげるね」と言う事で経家が登場したのです。
鳥取城の家臣達も「ちゃんとした大将が来て良かった~」喜んでいました。
しかし、それは軽い判断じゃないです。
厳しい戦況の中に飛び込むのですから、基本的には死ぬ覚悟は必要です。
それでも、経家は決断しました。
籠城戦に挑む
野戦では、秀吉軍に敵わないので(兵力が全然違う 4千vs2万)、籠城戦で対抗する経家。
戦に備えて城の周りを守りで固めますが…ちょっと兵糧が不足ぎみ。
噂では黒田官兵衛が差し向けた商人が、鳥取城の兵糧米を倍の値段買い上げたとの話。
(噂ですよ、異説もあります)
さらに、城下にある民家を放火して、住民を鳥取城に逃げ込ませます。
これで、食い扶持がどんどん減っていく…
そして、ついに秀吉の軍勢が鳥取城に襲い掛かります。
と言っても、みんなでワーッて攻め込むんじゃなくて城の周りをぐりんぐりんに包囲した。
戦うよりも、救援を断ち切る作戦です。
もちろん吉川の本部からは援軍が来たり、食料を届けようとしましたが、陸も海も封鎖されて鳥取城に辿り着けない。
すると、1カ月が経過すると兵糧は底をつき…
2カ月目には城内の馬とか、鼠、カエル、草の根っこ、木の皮等を食べで飢えをしのぎ
3カ月目には餓死者が続出。
餓死者が出ると、餓死者を食べます。
人間は追い詰められると、ここまでやります。
しかし、それは鳥取城に限った話ではありません。
中には城を脱走して、秀吉軍に助けを求める者まで現れる始末。
(これでは、敵味方があべこべ…)
もう、これ以上は無理。
ついに、経家は降伏しました。
哀れなる義士
城を開いた経家は、自分の首と引き換えに家臣達の命を救ってほしいと嘆願します。
ところが、秀吉の判断では
「経家さんは後から代打で来ただけなので、首は切らなくていい。
問題なのは俺たちに刃向かってきた森下道誉、中村春続です。
だから、この二人の首は切ってほしい」
とのこと。
しかし、経家は
「いいえ、それでは大将として責任を全うした事にはなりません。
首を切るのはまず、この私からでしょう…」
この一言が言えるのが侍です。
秀吉も「コイツは見上げた男だな」と感服します。
(秀吉はこういう武将が大好きなんです)
で、秀吉は信長と相談して経家、道誉、春続の3人首をもらう事にしました。
経家の首はその後、安土に送られ信長がきちんと葬ってくれたそうです。
いや、それどころか今現在でも経家の義勇は忘れ去られる事はなく、鳥取城の前には吉川経家の銅像が立っています。
金ぴかのミーハーなオブジェじゃなくて、青さびを纏ったシブい銅像です。
鳥取城をお立ち寄りの際には、ぜひ経家の前で胸をジーンとさせて下さい。
まとめ
毛利系家臣の勇敢な侍、吉川経家。
経家は山名豊国の後釜として鳥取城にやって来ます。
そして、秀吉との籠城戦。
過酷な兵糧攻めを食らった末に、経家は秀吉に降伏します。
しかし、義心を貫いた経家の侍魂に秀吉は心底感服しました。
経家の義勇は400年経った現代でも、今もって語り継がれています。
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