御伽衆の新左衛門

曽呂利新左衛門(そろりしんざえもん)とは豊臣秀吉の暇つぶしの話相手です。

 

秀吉の話相手を務める人は大勢いて、彼らは「御伽衆」と呼ばれていました。

文学や歴史の深い話、戦でのエピソード、お坊さんの有り難いお話、茶道のウンチク

海外の珍しい風習などなど、人それぞれの得意分野でいろんな話を聞かせるのです。

 

で、新左衛門の場合は頓智やダジャレなどで秀吉を和ませたのでした。

しかも、くだらない内容で。

 

戦国時代のお笑い芸人

例えばある日、新左衛門は秀吉の前でオナラをしたんです。

そしたら秀吉に笏(しゃく)で頭を叩かれました。

パシッと。

すると新左衛門は「オナラして2国を得たり。頭に播磨、尻に備中(びっちう)」   

と即座に返します。

文字にすると、全然面白くないですね。

(秀吉にはバカウケだったらしいけど…)

 

またある時は、秀吉は庭の松の木が枯れてしまったのをクヨクヨしていました。

そこで新左衛門は「御秘蔵の常盤の松は枯れにけり、己が齢を君に譲りて」

と詠んだそうです。

(どこが面白いんでしょうね?松の木が秀吉に元気をくれた…という意味デスネ)

 

でも、秀吉は新左衛門とのこんなやり取りを楽しんでいたんです。

(間合いとか、語り口調が面白かったのか?)

 

そして、秀吉のツボにハマると「褒美を取らせる」

といってボーナスをくれました。

 

お米の御褒美

そこでまた、一話やるのです。

「新左衛門、何が望みじゃ?」

「それでは、紙袋一つに入るだけの物を頂戴します」

「よし、分かった。好きなだけ入れよ…」

 

すると、後日新左衛門は米蔵が入るくらいの紙袋を準備してるとの事。

これを聞いた秀吉は

「やっぱり、紙袋はナシにしてくれ。普通の小さい袋だと思ったんだ」と謝ります。

 

あと褒美と言えば、定番はお米の話。

これまた、くだらないんです。

新左衛門がいつもの調子で秀吉を笑わせて…

「褒美を取らす」

「ならば、お米をください」

「将棋盤のマス目に一つ目は一個、二つ目はその倍、三つ目はさらにその倍、四つ目…」

「よし、わかった。ん?いや待てよ、それでいくと…ヤバい!」(もの凄い量になります)

「ご褒美頂戴いたします」

「いや、すまんすまん。今のはナシにしてくれ…」

(お米の褒美の話は、他に畳の目とか階段の段数に置き換えたバージョンがあります)

 

有名なネタに、サル顔の話があります。

秀吉は「自分の顔はサルみたいだから嫌なんだ」と言いました。

すると新左衛門は「違いますよ、サルの方が秀吉様に似ているんです」とやった。

もちろんこれも「褒美を取らす」でした。

 

ところで、このサル顔話のジョークを応用して現代の人を笑わせた人がいました。

ソフトバンクの孫正義さんです。

 

とあるネットの書き込みにこんなのがありました。

「孫さんのおでこは最近後退気味ですね…」と。

しかし、孫さんは見事にこれを切り返します。

「おでこが後退しているのではなく、私が前進しているのです!」

(手法は新左衛門と同じですね)

 

鞘職人から御伽衆へ

新左衛門の本業は刀を収める鞘を加工する職人でした。

しかし、和歌や茶道、香道にも心得がありまた、話が上手くてウィットに富んでいる。

そんな事から、秀吉の御伽衆に名を連ねる様になります。

 

これでも、新左衛門のギャグは当時の最先端のお笑いだったのでしょうね。

現代の人にはイマイチかも知れませんが…。