「隆景様、あなた頭がオカシイんじゃないですか!?

金吾秀秋を養子に入れたら、小早川を豊臣に乗っ取られるようなのもですよ!!」

毛利家臣の安国寺恵瓊は、そう言って隆景に詰め寄ります。

でも、チョット違うんだよなぁ~。

確かに、恵瓊の言うことにも一理あります。

ただ、秀秋騒動の裏にはこんな筋書きがあったのです…

 

官兵衛からの提案

毛利輝元は、小早川隆景の甥にあたる人。

そして、ずーっと子供が出来ませんでした。

 

そこで、黒田官兵衛小早川隆景に、こんなことを持ち出してきました。

 

「ところで隆景さん、輝元君のところには子供はできました?」

「いや~、まだみたいですね」

「それじゃ、秀吉様のところの金吾秀秋さんを養子にするってのは、どうかな?」

「ほほ~、秀秋さんですか!なるほど」

「お偉い方の親戚なら、養子に入れても安心じゃないですか」

「うん、確かに!ところで、それは秀吉様のご意向なの?」

「いやいや、例えば『秀秋さん』って話ですよ」

「そうですなぁ…官兵衛さんの言う通り、そろそろ養子の事も考えにゃいかんですね」

 

隆景は、官兵衛との会話で「それは毛利にとってGOOD!」みたいな様子で答えてました。

でも、内心は「ヤバいぞ~、こりゃ」という気持ち。

 

この話が実現したら、毛利の本家を豊臣の親戚に乗っ取られてしまう。

何とか、阻止しなければ…

しかも、急いで。

 

もし、官兵衛が「隆景もノリノリでしたよ」

なんて秀吉に言おうものなら、取り返しがつかなくなる。

絶対に、断れないし。

 

官兵衛の先を越すんだ!!

 

 

秀秋をダッシュで養子にしろ

そこで、隆景は秀吉の側近の所へ向かいます。

ダッシュで。

 

そして、こう伝えました。

「秀吉様にお取次ぎ願いたい。

もし、秀秋様がフリーでしたら、是非とも小早川の養子に来て頂きたいと存じます。

隆景、たっての願いであります!」

 

甥の輝元には子供はいませんでしたが、隆景にも子供は無し。

そこで、秀秋が本家に入り込む前に、小早川に引きずり込もう…という考え。

 

そして、この知らせを聞いた秀吉は…大喜び!!

(良かった、官兵衛に先を越されなくて!)

 

小早川家は毛利の分家と言えも、九州に2カ国ぐらいを持つ立派な大名。

しかも、オヤジの隆景は秀吉も認めるナイスガイ武将。

 

そんな素敵な大名の養子になれるなら、秀秋も幸せ。

どこに、文句の付けようがあるのか?

 

こうして、金吾秀秋は小早川の養子になる事を許されます。

 

しかし、この事態を毛利の知性派家臣、安国寺恵瓊が大反対。

「これじゃ、小早川が豊臣に取られちゃうじゃないですかっ!!」って。

 

まぁ、確かにその通りなんですけど…毛利を取られるよりは10倍マシなんです。

 

 

隆景が毛利を守るために

ところが、これと同時に本家の輝元から、相談が持ち込まれます。

 

「オレ、元清おじさん(隆景の弟)の所から、養子を貰おうと思うんだ。

宮松丸って言っていう、長男なんだけどさ…」

「ナニ?養子?宮松丸はOKなんだけど…ちょっと待ってくれ。

今、金吾秀秋でバタバタしてるから」

「ヒデアキ・・・?」

 

このタイミングで、秀吉に毛利の養子の許可を得ようとしたら

「せっかくなら、ウチの秀秋を養子に…小早川も毛利も親戚だから、どっちでも良いよね」

なんて、流れにもなりかねない。

 

これは最悪の事態。

だから、輝元の養子の件は少し待ってもらって、その間に秀秋をしっかり確定させる。

 

秀秋を小早川で抑え込んだら、次は毛利の養子。

この順番で行こう…

 

 

また、隆景にはもう一つの考えがありました。

 

毛利家は分家の小早川家と合計すると、9カ国もある巨大大名

だから、これだけデカいと秀吉には若干目障りだろう…と。

 

小さい大名なら、少しくらい刃向かって来ても痛くはないけど、毛利が襲って来たら大騒ぎである。

そこで、毛利には注意を怠らないし、場合によってはあらぬ誤解を受けて、どんな因縁を吹っ掛けてくるか分からない。

 

ならば、小早川の一つや二つが減った方が、かえって睨まれないで安心できる。

そこで、隆景は小早川を毛利の身内に国を譲らず、金吾秀秋に譲ろうと考えました。

 

かくして、秀吉の甥金吾秀秋は小早川家の養子となり…

小早川秀秋』が誕生します。

 

小早川秀秋が登場すると、小早川の家臣はバラバラと毛利に転職してしまいます。

違和感を感じて。

 

家を乗っ取られ、家臣が去ってゆく。

 

これって表面上は、秀秋が小早川にやってきて失敗みたいに見えますが…

裏事情を知って入れば、全てが想定内。

 

全てが隆景の策略。

これでいいのだ…

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