豊臣秀吉の若いころ、まだ織田信長と出会う前の話。

秀吉は、今川家臣である松下家という武家に仕えていました。

 

松下家では、そりゃもう一生懸命働きましたよ、秀吉は。

でも、ある事をきっかけにクビになっちゃうんですね。

 

でもでも、そのクビになった理由が秀吉らしい!

カッコよくクビになっていく秀吉?

 

では、どんな話か…ちょっと見てみましょう。

 

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松下之綱との出会い

継父、竹阿弥(ちくあみ)とどうしても、そりの合わない日吉(秀吉のこと)。

 

一時は、それが原因でお寺に入っていましたが、そこは長続きせず。

それで、家に帰るのですがやっぱ竹阿弥のオヤジが・・・気に入らん。

 

だから、再び家を出ます。

と言っても、金なし、コネなし、資格なし…の日吉少年。

 

年は15歳か、そこいら。

行く当てなどありません。

 

そこで、とりあえず東方面に向かって新天地を求めます。

すると、遠州引間という場所の橋で松下之綱(ゆきつな)という武将と出会いました。

 

汚いボロイ服をまとった、日吉。

松下之綱は、そんな日吉に気づきます。

 

「おい、そこの汚い服着たあんちゃん…これからどこ行くんだ?」

「どこって…オレ、今仕事を探してさまよっているんです」

「じゃ、フリーなんだな?ウチで軽作業の労働者募集してるから来るかい?」

「はい!ぜひとも…」

 

こうして、日吉は松下家に仕える事になりました。

 

最初の仕事は矢蔵番といって、倉庫の監視係。

せっかくありつた仕事に、日吉は全力で打ち込みます。

 

この時、日吉は人生初の家来をもっています。

家来と言っても、人間じゃないです。

 

犬です。

 

犬を飼って「怪しいヤツが現れたら、ワンワン吠えてくれよ」

と、一緒になって仕事に邁進します。

 

そのため、倉庫からものが盗まれることがめっきり減り、之綱も大喜び。

「日吉のヤツ、顔はダサくて服はボロイけど…仕事は優秀!うむ、よく頑張ってる」

 

こうして、日吉は之綱に認められ、倉庫の見張り番からマネージャーに昇格します。

もちろん、新しい仕事でも頑張る日吉。

 

業務成績は上々。

順風満帆に見えた、松下家での再出発。

 

しかし、そんな日吉に思わぬ落とし穴が待ち受けていました…

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正義を貫く秀吉

いわれなき濡れ衣

松下家に仕えて、めっちゃ仕事を頑張る日吉。

 

しかし、これを面白くない、と見る連中もいるんです。

日吉のおかげで自分たちが劣って見える、そんなジェラシーを感じるんですね。

 

ボロ雑巾だと思っていた日吉が、身分の高い自分たちを追い抜こうとしている…

 

そこで連中は、日吉が泥棒を働いたように見せるトリックをしかけました。

 

でも、そんなものは、見る人が見れば分かるんです。

誰かが、日吉を妬んで落とし入れようとしてるな、って。

 

 

当然、日吉は「オレじゃないです」って言うんです。

そして之綱も、日吉の犯行ではない…って判断します。

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それなら、何も気に病むこと無いじゃないかって、思いますよね?

ところが、違うんです。

 

日吉は倉庫を管理する作業員なんですが、心の中は思いっきり武士

 

仕事をしてりゃ、いろんな誤解や妬みなんかもあるでしょう。

でも、おかしな濡れ衣着させれれて、黙っているようじゃ武士じゃない。

 

そこで日吉は、主人の之綱にこう申し出ます。

 

「オレは、このまま引き下がるのはイヤです。

だから、泥棒騒ぎを撒き散らしたヤツと、決闘させて下さい」と。

 

しかし、之綱は大人ですから…

 

「日吉、お前の言い分はよく分かる。

しかしだな…ここで決闘しても、お前の仕事ぶりを妬む連中は他にもいるだろう。

だから、申し訳ないが松下を辞めてもらえないだろか?

もちろん、それ相当の保証はしてやるから・・・」

 

武士の本分

ところが、日吉はここで引き下がりません。

 

「いいえ、決闘するまではここを出て行きません!

金をやるからと言って、泥棒の汚名を引き受けるのは一生の恥でございます」

 

之綱は、話の分からん日吉に怒りました。

「お前、主人の向かってその口はなんだ!頭が高いぞ!」と。

 

そして、これを聞いた日吉は大粒の涙を流しながら最後に訴えます。

 

「オレは松下様に、精魂をかけてお仕えしてきました!

でも最後は、卑怯な連中と一緒になって自分を追い出すとは…あまりにも残念です。

そして、そんな人とは知らず、心から仕えてしまった自分が悲しい…」

 

そう言うと、日吉は之綱からもらった脇差退職金を返して、松下の家を後にします。

 

之綱の言うことも、分かります。

 

松下家には、長年の家臣や親戚も仕えている。

だから、そこへ新入りの日吉の訴えを聞いて決闘を許したら、話がややこしくなります。

 

日吉は誠実で優秀だけれど、大勢には代えがたい。

 

之綱はきっと、深く悩んだことでしょう。

また日吉も、之綱の言わんとすることを、理解していたでしょう。

 

でもでも、日吉は武士の本分を貫きます。

きっぱりと。

 

損得勘定を考えたら、そんなこと言わない方が得ですよね?

でも、ここでお利口さんになって丸く治めたら、普通の武士です。

 

真っ直ぐな気持ちでドカンとぶつかるのが日吉であり、そんな日吉がいたからこそ、後の秀吉が誕生するのです。

 

ちなみに、日吉は出世して秀吉となり、之綱よりも立場が上になりました。

すると、秀吉は松下家を大きく取り立てて、大名にしてあげました。

 

過日は、泣いて恨み言を言った秀吉なんですが…

一度受けた之綱への恩義は、いつまでも忘れないでいたのです。

 

ここでも秀吉は、武士の本分を貫きました。

 

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